歯が使えなくなる第3の病気 ~咬合病から歯を守ろう~

治した歯が壊れる、歯が使えなくなる

 若いころは歯が良かったにもかかわらず、1本歯を失いその歯をブリッジで治した頃から歯医者さんに通う回数が増え始めるようになった。
治したブリッジがだめになった後は部分入れ歯となり、その入れ歯も支えになる歯が壊れてしまった。
歯がだめになるたびにその歯を抜いて新しい入れ歯を作り直すようになる。
これではいけないと、改心してしっかりと歯磨きも定期検診にも通うのだが歯は悪くなる一方。
年を取るとはこういうことかとあきらめてはいるものの、今まで食べられたものが、咬めないために食べられないのはやはりつらい。
現在では奥歯はすべて入れ歯になりました。
今後もさらに歯が無くなるのではないかと不安です。

実はこのような歯の悩みをお持ちの方が多いのが現状です。
むし歯や歯周病の問題が見つかればすぐに治療を受け、定期検診も受けているのに歯が壊れてしまうのはなぜなのでしょう?

それは咬合病(咬み合わせの不具合によって起こる様々な病的状態)に対する対処が行われなかったためです。

正しい咬み合わせと咬合病

上下の歯は正しい顎関節の位置ですべての歯が均一に接触することが大切です。
そのうえで下あごが動くときには前歯がその動きを円滑に誘導しなくてはなりません。
またこの誘導により奥歯は離れるようになっていることで、奥歯には無理な力が加わることが無く、咬み合わせが安定します。
このような状態が確保されていないと、この不調和な状態を改善するように身体の適応反応が働き、くいしばりや歯ぎしりをしてしまいます。
この時の無理な力が歯を壊すのです。

力負け

むし歯で修理した歯や神経を取り除いた歯は本来の歯の強さを持っていません。
さらに歯を失った状態を回復するためにブリッジや入れ歯を入れたとすると、支えとなる歯は本来のその歯の負担能力を超えた力を引き受けることになります。
1本の奥歯には100㎏以上もの力が加わることもありますから、治療を受けた口の状態ではすべての自分の歯が整っていた若いころと同じだけの咬む力を引き受けられません。
しかし治療後も以前と同じような使い方をしてしまうと歯が力負けしてしまい壊れてしまうのです。

食いしばりと身体の様子

正しい咬み合わせをしていても歯の限界以上に力を加えると歯は壊れます。
食いしばりや歯ぎしりをする場合には人の身体をコントロールする交感神経の働きが関わっています。
つまり交感神経が過剰に働く状態を持っている人は、歯が壊れるのです。

ストレスや疲労も原因ですが、栄養摂取の状態が悪くても交感神経は過剰に働きます。専門医の指導を受け体調管理を行うことも歯を守るために必要です。

咬合病の見つけ方

これらの咬合病は歯の状態を観察すれば容易に発見できます。

前歯を見て歯の磨り減りが強かったり、奥歯の歯ぐきから出ている歯の高さが低くなっていたり、歯を抜かなければならなくなった理由が、歯根が割れてしまったというような方は、この咬合病が発生しています。また顎の骨の一部が瘤のように膨らんできている方、顎関節症の方、頬の内側に圧痕がある方も要注意です。

早めに歯科医師に相談し、適正な咬み合わせの確保と自分に合った歯の使い方を確認することが咬合病から歯を守る方法です。

異常な歯の磨り減り
骨にできた瘤
頬の圧痕