セカンドオピニオンのすすめ ~治療に安心・納得できていますか?~

募る不安

虫歯・歯周病やかみ合わせの問題、病気の名前は知っていても詳しい内容と
なるとわかりません。

さらにその治療法となると詳しいことはわからず、主治医の先生のご指導の下、
その治療を了解して受けるしかありませんでした。

治療が終わっても違和感が残ったり、痛みが消えなかったりと

本当にこれで大丈夫なの? 

治っているの?

こんな不安をお持ちの方が多いのが実情です。
しかし、さらに相談するすべもなく、主治医の先生のアドバイスを頼りに我慢の日々が続いています。

こんな時どうしたらよいのでしょうか?

 

歯を失う4つの病気

口の中にはいろんな病気が起こります。当然癌だって発生します。
しかし生きている間ずっと使い続ける自分の歯を失わないためには、歯を失う病気から歯を守ることがポイントとなります。

この歯を失う病気には4つの種類があり、それが単独あるいは複数で絡み合いながら
発生しています。
4つの病気とは、

①歯自体が壊れる虫歯

②歯を支える歯茎と骨が壊れる歯周病

③規定通りに正しく治療ができていない不良な治療

④上下の歯が正しい位置でかみ合っていなかったりスムーズに働けな
いために歯が壊れるかみ合わせの病気

です。
これらの病気を正しく確認し、絡み合った紐をほどくようにすべての病気に対し
取り組まなくては、病気による症状は改善せず、一生歯を使うことはできません。

歯を失う4つの病気

歯科医師が違うとこれらの4つの病気の診断とその治療方法は変わります。
これは歯科医師という立場が互いに独立しており、それぞれが自由な裁量権をもつことが法律により定められていることに由来します。
ですから、

A先生は「この歯はだめなので抜くしかない」
と診断し治療計画を決めたとしても、

B先生では「いろんな治療方法を組み合わせ、歯を抜かずに治療する」
という診断と治療計画を提示されることになるのです。

これはどちらかが正しいのではなく、どちらも正しいわけで、それぞれの診断と
治療計画ではそれぞれに利点と欠点があることを理解しなくてはなりません。

患者さんはこれらの複数の診断と治療計画を比較検討し、そのうえで自分に
合った方法を選択しなくてはならないのです。

セカンドオピニオンのすすめ

このように複数の意見を比較検討し自分に合った方針を決定するために行う手順を
セカンドオピニオンと呼びます。

患者さんが治療方法を選択するには納得できるまで主治医と相談して決めることが重要です。
しかし一人の先生の診断に頼っては、ほかの治療方法を選択するチャンスが失われてしまうのです。

このため自分の意に反した方法を了承し、不安を残しながら治療を決めなくてはな
らなくなってしまいます。

ですから別の歯科医師の意見を聞いてみて、自分に合った治療方法や納得できない
診断や治療結果に対し、比較検討するわけです。

セカンドオピニオンを受けたからと言って主治医に責められることはありません。
むしろ主治医は積極的にセカンドオピニオンを受けようとする患者さんを応援する
ことが義務付けられています。

たとえば、相談できる専門医を紹介したり、
そのために主治医の先生の持っている診断資料を貸し出したりもします。

デンタルドックを活用しよう

セカンドオピニオンを求める歯科医師が見つからないとき役立つのが
デンタルドックです。
お口の人間ドックであるデンタルドックでは、口の中の詳しい様子を知る
ことができます。

あなたの歯を守るためにデンタルドックを活用してみてはいかがでしょうか?

歯医者さん選びの6つのステップ

患者さんの悩み

「私の病気は治るのか?」

「治療は長持ちするのか?」

「きちんと治してもらえたのか?」

患者さんの不安は絶えません。そしてこの不安の解決方法は、
「良い先生」を探すこととなるのです。

ではこの「良い先生」はどのようにして見つければいいのでしょうか?

「良い先生」には基準がありません。

ある人は技術の高い先生、ある人は良く相談に乗ってくれる先生、
ある人はいつでも診てくれる先生、美しく治してくれる先生、……。
これらをまとめると、あなたの期待を叶えてくれる先生こそが、
あなたにとっての良い先生となります。

自分に合った先生の探し方

自分に合った先生を探すには、先生と十分に話をする必要があります。
あなたが困っていること、期待することをしっかりと伝えることから始めなくてはなりませ
ん。
そのため、新たな歯医者さんに行く場合には、「相談で伺いたい」という予約を行うことが賢明です。

このような予約をすることで歯医者さんも相談にお越しになるのだという意識が生まれ、あなたの話にしっかりと耳を傾けてくれることでしょう。

歯を失わない歯科医療を受診するための6つのステップ

あなたの期待が、

「生涯自分の歯で過ごしたい」

「治した歯は悪くしたくない」

というものであれば、歯医者さん探しはより慎重に行う必要があります。

そこで以下の6つのステップを歯医者さん選びの手順にされるとよいでしょう。

ステップ❶
歯医者さんに相談に行く前にします。自分の歯をどのような状態にしたいのかという
あなたの期待を明確にするステップです。
きれいになりたいとか、○○が食べたいとか、歯を失いたくないとか、難しいことは
必要ありません。
あなたの気持ちを率直に伝えられるよう整理しましょう。

ステップ❷
相談に伺った先生に、あなたの期待を伝えます。話をすれば、相性や話しやすさが
わかります。
また、あなたの期待に対し納得のいく説明をしてもらえるかも大切です。
合わないと感じたときは、再度考えますと言って別の先生を訪問する勇気を
持ちましょう。

ステップ❸
精密検査を受診します。長持ちする治療は、病気の原因から取り除く原因療法で
進められなくてはなりません。
このためにはあなたの歯を失うに至らしめる4つの病気が発生しているかについて
しっかりと確認することが必要であり、そのために精密な検査を受診することが
必要となります。

ステップ❹
検査結果報告を受け、あなたの歯の様子を理解します。知る権利・学習する権利
という患者の権利により、あなたは歯科医師から検査結果をわかりやすく説明して
もらうことができます。
内容が多岐にわたるので、あとで確認ができるように文書で報告書をもらうのが
良いでしょう。

ステップ❺
治療計画を提示してもらいます。あなたの期待を叶えるための治療方法には
様々なものがあります。
あなたの期待に合った治療方法を選ぶため、様々な方法を提案してもらい
比較検討しましょう。
文書により、治療計画内容・治療スケジュール表・治療費用見積書などを
いただくことができます。

ステップ❻
最後はこの先生のこの治療で良いかを自分自身で決めることになります。
迷った場合には、他の治療計画を提案してもらったり、他の先生の意見(セカンドオピニオン)を聞いてみるのもよいでしょう。

一生使う歯の治療を任せるのであれば、
歯医者さん選びも慎重に取り組むことが大切です。

インフォームドコンセントしてますか?

患者中心の医療とは

患者さんは病気やその治療法については素人であるため、どのような治療を受けるのかについてはどうしてもお医者さんの指示に従わざるを得ませんでした。
しかし時代の流れは、患者さんがお医者さんにお任せするのではなく、患者さん自身が主体的に医療を選ぶという時代となっており、これが患者中心の医療です。

この患者中心の医療では、

①患者の期待に沿っている        ②患者の権利が守られている

という2つの要件を満していることが必要です。

患者の期待に沿っているとは、患者さんの「どんな状態にしてほしいのかという希望」に合わせた処置を行うということです。

このためには患者さんは自分の希望を伝え、お医者さんは患者さんの希望を聴き取るという手順を一連の治療の開始の前に行うことが必要です。

歯科治療において患者さんから伝えられる希望には、
希望が叶う・叶わないにかかわらず、

「歯を失いたくない」

「おいしく食事をしたい」

「美しい笑顔でいた」

「入れ歯やいやだ」

などといった事柄が多いようです。

患者の権利が守られているとは、患者さんが自分の期待とおりの結果を手に入れるために必要な医療を受けるために基本的人権として守られるべき事柄となります。

患者の権利とはどんなもの?

1995年第47回世界医師会総会で採択された
「患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言の改訂」では
この患者の権利について6つの要素を取り上げています。

①医療に対する参加権…医療制度の構築に当たっては、 行政・医療者のみならず
 市民の代表も参加できる

②知る権利と学習する権利…患者は自分の病気や治療法について医療者から
  教えてもらうことができる

③安全な医療を受ける権利…感染の危険などを排除した安全な治療が受診できる

④最善の医療を受ける権利…制度や費用に関わらず、常にその条件下での
ベストの治療を受診できる

⑤平等な医療を受ける権利…人種や地位などに関わらず、平等の内容の治療を
  受診できる

⑥医療における自己決定権…どんな治療受けるかは患者自らが自分の意志で
 決めることができる

これらの権利のうち最も重要とされているのが、医療における自己決定権であり、
これがインフォームドコンセントです。

インフォームドコンセントは患者さんが行うこと

患者さんがインフォームドコンセントを行うに当たってお医者さんは、
患者さんを脅したりや不適当な誘導を行うことなく、専門用語などを使わない
わかりやすい言葉や方法により、

①診断の評価

②提案する治療の目的・方法・予想される期間・期待される効果

③ほかの治療方法

④提案した治療方法で予想される苦痛・深い・危険・副作用を
 説明しなければならない

としています。

つまり、医療に対して知識のない患者さんは、知る権利と学習する権利を使って
お医者さんから情報を入手し、その情報に基づいて自分の期待を叶える医療を選択
するというものです。
お医者さんはこの患者さんの権利を守るための義務を負っているのです。
患者中心の医療を受けるということは、患者さん自らが患者としての権利を行使し、
お医者さんの支援を受けて、自分に合った医療を自己決定するということから
始まるのです。

あなたが自分に合った治療を納得して受診するためには、お医者さんとしっかり
コミュニケーションをとることが必要な時代になっているのです。

患者の権利章典をご存知ですか?

変わりゆく医療

現在のお医者さんは一昔前と変わってきたということを感じておられますか?

昔の医療者は、パターナリズムと呼ばれる医療者としての倫理観を守るように教育
されました。

パターナリズムとは「家父長的温情主義」とか「親権主義」などと訳されますが、
医療の現場では、

「素人の患者さんに医療上の判断をさせることなく、患者にとってより良い結果を専門家である医療者が判断し患者を善意の心によりより良い結果へと導くべき」

というものです。
しかし今やその倫理観は世界的にも否定されました。
現在は、

「医療は患者のものであり、患者自身がどのような医療を受診するかを
自己決定しなくてはならない。医療者はそのための支援をする立場である」

という患者中心の倫理基盤に変化したのです。

アウシュビッツが
患者の権利の起源だった

この患者中心の医療倫理観は第2次世界大戦のアウシュビッツでの反省から
巻き起こったものでした。

アウシュビッツでのユダヤ人大量虐殺は皆さんが御存知のことですが、
そこでは医学の発展という美名のもとに多くの人体実験が行われました。
それは、たとえば治療の効果がどのようなものであるのかを確認する為に、
まだ息のある人体を解剖し様子を観察するといったものでした。

このような戦争での悲惨な教訓から、医療現場でも基本的人権が最も優先されなければならないものという考えが巻き起こり、 患者の権利をどのように守るべきかと
いう議論がなされたのです。

1947年ニュルンベルク綱領に始まり、1981年のリスボン宣言、そして1995年第47回
世界医師会総会で採択された「患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言の改訂」において、守られるべき患者の権利の内容が明確にされました。

そしてその内容は病院では必ず掲示されている「患者の権利章典」として多くの人の目に留まるようになっています。

患者の権利章典

大きな病院に行けばその待合室には必ず額に入った「患者の権利章典」を見ることができますし、ホームページからも閲覧できます。

患者の権利章典とは、医療者は患者さんの権利をどのように守ろうとしているのかを
患者さんに明確に意思表示し、患者さんに対する医療者としての心構えを宣言し ています。

ですから詳しくその内容を読み取り、患者さんはそこに宣言された内容を自らの権利として行使することが大切となります。

あなたの医療機関選びの目印になるかもしれませんね。

患者の権利章典

 

歯科医療の奔流:患者中心の医療を受けよう

今までの医療

ある患者さんが医者に行った時の笑い話にならない話です。

朝から熱っぽく寒気がして咳が出ている様子から、通院先の先生に
「どうも風邪をひいたようです。注射をしてもらえませんか?」と申し出たところ、
この先生から怒られることになりました。

「誰が風邪と診断したんや! 患者が診断して治療方針を決めるとは何事
や。医者の私が風邪と診断したうえで処置を決めるから、その通りに治療を
受けなさい。」といった具合です。

今までの医療は、医者が診断をし、患者さんの利益となる治療方法を考え、
患者さんはそれに従うという医療者中心のスタイルだったのです。

医療の世界標準は「患者中心」

様々な業界と同様に、医療の世界も変化しています。

その大きな変化のポイントは「医療者中心の医療」から「患者中心の医療」への
変換です。「患者中心の医療」とは、病気や治療に関する様々な情報について
わかりやすく提供を受け、その中から患者さんが自分に合った納得できる方法を
選択するというやり方です。

この「患者中心の医療」では、2つの事柄が満たされている必要があります。
1つには患者の期待に沿った医療であることであり、もう1つは患者の権利が
守られることです。

ではこの2つのことについてもう少し深く考えてみましょう。

患者さんの期待に沿っている医療であるためには

患者さんの悩みは様々です。そしてまた治療した結果に対する期待にも
人それぞれ違います。

とくに歯科医療では、治療の結果が患者さんの生活の質に深く影響することから、
医療者は個々の患者さんの期待をしっかりと聴き取らなくてはうまくいきません。

美しく若々しい口元でいたいと希望される方、おいしくなんでも食べたいと期待され方、カラオケが趣味でうまく発声できる口でなくてはならないと期待される方、様々です。

歯科医療者はこれらの個別の期待にうまく対応するため、様々な歯科医療技術を
習得しており、それを提供するわけですが、そのためには患者さんが何をどのように
期待しているかを聴き取らなければなりません。

患者さんの期待に沿った医療であるためには、患者さんの悩みをじっくりと聴き取り、どのような対応がベストであるのかを見極めるための十分な相談の時間が
必要なのです。

患者さんの権利とは

患者さんが持つ権利は、1995年第47回世界医師会総会にて採択された
「患者の権利に関するリスボン宣言の改訂」に明記されました。この宣言では
患者さんの基本的人権の擁護という基盤に基づきいくつかの項目が列挙されていますが、もっとも重要な項目は、インフォームドコンセントの概念です。

インフォームドコンセントとは、医療における患者さんの自己決定権のことです。
どのような治療を受けるかは患者さん自身が決める、そのために必要な様々な情報
については医療者がその情報を提供する義務を負うというものです。

相談した医療者の内容で納得できない場合は、セカンドオピニオンとして別の医療者に相談することもよいとされています。

患者さんの権利が守られて医療を受けるということは、治療方法やその効果やリスクなど、これから受けようとする医療内容の決定に当たっては、理解でき納得できるまで医療者から説明を受けることができるということです。

「患者中心の医療」を受診するということは、じっくりと相談し納得できるまで説明を
受けたうえで治療を受けるということであり、そのために必要な時間を必要なだけ
使ってもらうということなのです。

次回は、患者中心の医療機関の選択に欠かせない「患者の権利章典」について解説いたします。

患者中心の歯科医療のために

患者として思うこと

相談にお越しになられたAさんは、現在通院している歯科医院で、「この歯は抜かなくてはなりません、抜いたあとはインプラントにされたらいかがでしょう」と言われました。

「なぜ痛くもないこの歯を抜かなければならないのか、自分の歯に何が起こっているのか、歯を抜かずに治す方法はないのか」、突然の歯医者の提案に戸惑うばかりで、何をどのように質問して良いのかもわかりませんでした。

さらにその場では考えてじっくり相談をする時間もなく、尋ねる内容が隣の患者さんに
聞こえそうで恥ずかしさもありました。結局「考えてみます」といって帰りましたが、
どうして良いかわからない不安からほかの歯医者の意見を聞いてみようとお越しになったのでした。
この方と同じように、多くの患者さんは迷っておられます。

どうして歯は痛むのか?この歯は治るのか?

どんな治療がベストなのか?・・・。

歯のことは歯医者から教えてもらう

歯にまつわる詳しいことは歯科関係者にしかわかりません。ですから歯のことは歯医者に聞くのが最適です。
しかし先生は忙しそうで、無理に質問すると、

「迷惑にならないか」

「嫌な患者と思われないか」

「ほかの患者さんを待たせてしまうではないか」

などいろんな遠慮が出てしまいます。

患者さんには治療を受ける上での「患者の権利」が認められており、
その中には、

「知る権利」      「学習する権利」

が含まれ、医療者にはこの権利を守る義務が課せられています。

ですからあなたがもし疑問や不安を感じたらこの権利を使って率直に聞くことが
大切です。
そして十分な理解と納得の上で、自分に合った治療や健康管理の方法を選択
すればよいのです。

しかしながら、この権利をうまく使えていないのが日本の医療の実態です。

歯
歯のイラスト

歯医者の事情

ほとんどの歯医者はより良い結果を患者さんに提供できるよう努力しています。
しかしながらそのために必要な「患者さんと相談する時間」を十分に確保出来ていないのが現状です。
これは、日本における保険医療制度に原因があります。医療の費用は極めて安価に抑えられており、相談のために使われた時間に対しての報酬はありません。

さらに歯や入れ歯などを作ることにより費用が支払われるという出来高制の制度のため、歯科医師は大量生産、薄利多売型の経営にならざるをえず、相談よりも歯を削ることを優先させてしまいがちなのです。

自分に合った歯医者探しのために

このような現実ではありますが歯を守るためにはあなたに合った歯科医師を見つけなければなりません。

そのためには、歯医者としっかり相談ができるよう、正しく精密にあなたのお口の状況を理解し、基本的な歯科医療の知識も持たなければなりません。

そのために活用されるのがお口の人間ドック、デンタルドックです。

デンタルドックは、特定非営利活動法人明日の歯科医療を創る会POSが推進する
「患者中心の医療」を普及するためには、患者さん個々に正しい情報を提供することこそが大切という考えから、その理事長である歯科医師足立優が提供を始めました。
精密な検査に基づき得られたあなたのお口の詳しい情報を十分な時間を使って提供するのが目的です。病気に関する知識やあなたに合った治療の情報もてに入れることができます。

自分に合った歯医者を見つけ、納得の治療を受けるため、デンタルドックを上手に利用してください。